2011年10月7日金曜日

指揮者にとってのスコア


拙宅の書架にはスコアが溢れています。そのなかにはおおよそ一生のウチに演奏することがないであろう、スコアも多いのです。その中の一群には学生時代に東欧諸国で買い集めたスコア達がります。冷戦時代の東欧諸国のスコアの出版はナショナリズムを反映されていて、それぞれの国のお国物、たとえばチェコならドヴォルザーク、ハンガリーならバルトーク、リストといった作曲家の気合いが入った校訂をしたスコアが出版されていました。おおむね西側のお金に換算すると安いので、旅行で行った先々で買い集めたりしたものです。とある作曲家のある作品を演奏する為には、同じ作曲家によるなるべく多くの作品を知る必要があり、その上でもスコアを買い集めてあったのです。今ではIMSLPなんていう便利なサイトもありますが・・。
 ところでこの東欧の出版物、いざ演奏に使おうとすると紙の質が悪い(すぐボロボロになる)製本が劣悪(すぐバラバラになる)印刷が粗雑(インクの薄いページがある)裁断がしっかりしていない(違うページ同士が切り離されていない)、などという共通した特徴(??)があり、そのまま指揮につかおうものならすぐ、満身創痍になってしまいます。
 とはいえ、おおよそ演奏する事がないだろうと思っていた曲が、書架から引っ張りだされて初めて演奏される機会を持つ、というのはなかなか感動的なこと。
 ドヴォルザークは私のお気に入りの作曲家の一人。日本ではほんの一部の曲しか演奏されていないけれど、演奏の機会の持てない名曲が多いのです。もっと書架に埋もれている曲で演奏したい曲は沢山あります。この実直な第五交響曲。木訥な書法をどのようにきらびやかに演奏するか、思案しています。

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