2010年11月16日火曜日

アテネ音楽堂


弦楽器のピアニッシモがホールの静寂から立ち上がり、深淵に消えてゆく。
なんと美しい音だろう。美しいという言葉だけでは表せない快感がそこにはある。
指揮をしていてこのオーケストラの音色の感覚とコンサートホールの音響には驚かされる。
ブカレストのコンサートホールは1888年に出来た「アテネ音楽堂」というギリシャの芸術の神の名を冠したホール。初めて入ったのは今から23年前。観客席からじっとコンサートを聴いていたあのころ。それ以来変わらぬ特別な思い。
考えて見れば言葉で言い尽くせぬ物があるから音楽をやっているのだ。現代社会では目で見える物、認識できる物以外は信じない風潮があるけれど。
でも年月を重ねてきた伝統と空間には超越した何かがあるのだ!
溢れている情報に惑わされずに自分の感覚を研ぎ澄ませて音楽に身をゆだねよう。

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